2002-01-01から1年間の記事一覧

私の信心生活その一 仏教に求めるもの

私が仏教に求めているものは、心の平静、日々の生活を安らかな気持ちで生きられる心です。 心の平静とは、 ・次から次へとエスカレートする各種の欲望に振り回されないこと ・他人や社会の理不尽さへの怒りに我が身と心を委ねてしまわないこと ・自らの愚か…

「空」とはなにか (下)

仏教は、人間は身も心もすべてが関係性の「ご縁」をいただいで出来上がっていることを教えます。 しかし仏教は宿命論・あきらめの哲学ではありません。運命だから何でも我慢しようという教えではありません。すべてを「ご縁」と認識した上で、一時的な現象に…

「空」とはなにか (中)

色即是空 (しきそくぜくう) 空即是色 (くうそくぜしき)色は即ち是れ空なり 空は即ち是れ色なり般若心経の一節です。般若心経262文字は全編「空」の解説書ですが、この一節が特に中心として知られています。「色(しき)」は、一切の形あるもの、を意味し…

「空」とはなにか (上)

「くう」と読みます。「そら」「から」ではありません。 色即是空(しき・そく・ぜ・くう)の空です。 空は仏教の世界観(人間や社会や自然に対する考え方)の中心にあります。空が分かれば仏教が分かります。様々な教えの根底にある、ものの見方です。です…

報復への戒め 〜新約聖書から〜

キリスト教徒の友人から、報復への戒めを記した新約聖書の記事を教えられました。誰に対してであれ、悪に悪を以て報いてはなりません。人があなたに悪を行ったということは、、あなたのその人に対する行動を決定するものではありません。あなたはこういう仕…

塵を払い垢を除くという覚りへの修行があります。

お釈迦様ご在世の頃の逸話として伝えられる話です。 周利槃特(しゅりはんどく・チューラパンダカ)という名前のお弟子さんがいました。あまりに愚鈍であって、自分の名前さえ覚えられないほどだといいます。これを恥じた秀才の兄が、精舎(しょうじゃ・お寺…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その九(最終回) 争うな 議論するな 喋り過ぎるな

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「仏道を学んで骨身を惜しまぬ志があるならば、時を惜しんで学ぶが良い。人と言い争う暇のあろうはずがない。自分にとっても、相手にとっても、結局無益である。ましてや仏教以外の世間のこ…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その八 貧に学ぶ

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「仏道を学ぶには、まず第一に貧を学ばなくてはならない。その上に利益を捨てて、一切人にへつらわず、万事を投げ捨てれば、必ず立派な僧になる。中国でも立派な僧と人にも知られた人は、み…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その七 サイの角のようにただひとり歩め

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「昔の人は『霧のなかを歩くと、しらないうちに着物がしっとりする』と言っている。優れた人に親しんでいると、気がつかないうちに自分も優れた人になる、というのである。坐禅も自然に長い…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その六 人のためになる

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「世間の人をみると、果報にも恵まれ家をも興す人は、みな心が正直で人のためにも良くする人である。だから一家を安泰に保ち、ひいては子孫までも絶えないのである。心にひねくれたところが…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その五 人間はみな親戚です

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「恩を自分一人の父母に限って考えない。すべての生きとし生けるものの恩をみな平等に父母の恩と同じく深いと考えて、自分がした善根の功徳をあらゆるところに向けるのである。とりわけ、こ…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その四 悪魔は自分の心に住んでいます

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「仏道を学ぶものが間違いをおこすのは、人にありがたがられ、財宝が豊かになったのをもって、道が現れたのだと自分も思い、人もそれによって判断することである。これをば悪魔のしわざと言…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その三 みんな最初は凡夫です

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「どの仏もどの祖師(そし=一宗一派をひらいた高僧)も、皆もとは凡夫(ぼんぶ)であった。そして凡夫の時には必ず悪い行いもあり、悪い心もあった。鈍くもあり愚かでもあた。しかし皆それ…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その二 私が気づかないだけなのです

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「世間でいう言葉に『私は黄金を売っているのに、人々が黄金を手にいれないのは、人が買わないからだ』という。仏教も同じである。道を惜しんで与えないのではない。常に与えているのである…

道元禅師に学ぶ日常生活の心得その一 言う前に三度反省する

〜「正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)」を読んで〜「仏道を学ぶ人が、ものを言おうとする時は、言う前に三度反省して、自分のためにも相手のためにもなるようならば、言うがよい。利益の無さそうな時には言うのをやめるべきである。こういう…

現代の妙好人・榎本栄一さんの詩に思うその八(最終回)

「念仏のうた−無上仏(むじょうぶつ)」樹心社発行 から。■ 此岸(しがん=この世)のいのち ここに いのちたまわればこそ 咳もでる かぜもひきそうになる■ 笛を吹く ここで 一人(いちにん) 笛を吹いてます むかしは だれかに聞いて欲しかった 今は 吹いて…

忘れてはいけない8月

あの照りつける毎日を 杖をついたあなたの手をひき さがし歩いた影のない広島 瓦の山をこえ 崩れた橋をつたい 西から東、南から北 死人を集めていたという噂の四つ角から 町はずれの寺や学校 小さな島の収容所まで 半ばやぶれた負傷者名簿をめくり 呻きつづ…

現代の妙好人・榎本栄一さんの詩に思う その七

「念仏のうた−尽十方(じんじっぽう)」樹心社発行 から。■ ひとの世 いわぬが花ともうしますが 人さまの 短所には眼をとめず ただ温かくみるだけの 修行をつづけたい■ 今日 月日(つきひ)はどんどん流れ去るが あらたな今日を とぎれずにいただく■ 浄土か…

ピルは大丈夫でしようか?

マザーテレサに共鳴している友人が「生命尊重センター」の活動に参加しています。会報『生命尊重ニュース〜小さな命をまもるために〜発刊にあたって』では「1年間に失われる胎児の生命は、届け出数だけでも35万人、そのうち十代の中絶件数は4万4千件。実はそ…

現代の妙好人・榎本栄一さんの詩に思う その六

「念仏のうた−無辺光(むへんこう)」樹心社発行 から。■ 地獄をつくる 私どもには 他をかえりみず 自分さえよければの おもいあり 地獄をつくる 素因(もと)になるようです■ 地獄一定(いちじょう=来世の地獄行きが定まっている) 自分のなかを さらけ出…

お盆の行事

お盆の行事は、仏教を中心にして、中国の道教、日本の神道や地域の民間習俗が長い時間の間に溶け込んだ、日本最大の国民的イベントです。 7月15日を中心に、祖先の霊を自宅に迎えて冥福を祈る仏事で、正式には、盂蘭盆会(うらぼんえ)、または13日の夜に迎…

現代の妙好人、榎本栄一さんの詩に思う その五

「念仏のうた−常照我(じょうしょうが)」樹心社発行 から■ 罪業深重(ざいごうじんじゅう) 私の中は深い海 くらいここで もやもやゆれるは 縁(えん)にふれたらとびだす 未発(みはつ)の罪■ 地獄一定(いちじょう=来世の地獄行きが定まっている) 人の…

コアジサシに会いました −挫折の話−

自宅近くの中川の水辺を散歩中にコアジサシに出会いました。4月25日発信の「薫の葉書」でご紹介したリトルターンです。もう夕方で、この水鳥の器用なホバリング(空中停止)とダイビング(飛び込み)を見ている私の影がはるか離れた水面にうつっていました。…

「神様と、助けてくれた人に感謝。すべてを許し、嫌な気持ちはない」

北朝鮮から中国、フィリピン経由で韓国に亡命したキムさん5人家族の記者会見での言葉です。 この事件については、国家の建て前や要職者の思惑や関係者の面子などが絡み合って、一時はどうなるかとおもいましたが、まあいい結果になって良かったと思います。…

現代の妙好人、榎本栄一さんの詩に思う その四

「念仏のうた−光明土(こうみょうど)」樹心社発行 から■ ゆっくり ゆっくりあるくようになり 道ばたの石ころも 光っているのをしり■ うすあかり ゆきづまって 素直にじっとしていたら いつしかわが身に うすあかりさしており■ 智慧光(ちえこう) 光りに遇…

現代の妙好人、榎本栄一さんの詩に思う その三

「念仏のうたー難度海(なんどかい)」樹心社発行 から■ 道づれ 今日も 如来さまは この足弱き私の 道づれになってくださる この道 平坦ではありません■ ひとりでは 自分一人では できぬことが多い お世話くださる人 みな 菩薩さま■ 石しらず 捨石は 世に役…

現代の妙好人、榎本栄一さんの詩に思う その二

「煩悩林(ぼんのうりん)」 真宗大谷派難波別院発行 この本は一般の書店では扱っていないようです。私は『中山書房仏書林』で購入しました。東京都文京区湯島2-14-4 TEL:03-3833-7676■ 持病 持病あるは ありがたし 持病あるゆえ 無理しようにもできないのが…

現代の妙好人、榎本栄一さんの詩に思う その一

「妙好人(みょうこうにん)」とは、他の模範となるような熱心な仏教徒のことです。特に浄土真宗において在家(ざいけ=僧侶でないこと)の敬虔な信者を尊敬して用いられ、妙好人の言行から多くを学ぶことができます。 榎本栄一さんは明治36年〜平成9年、淡…

飛べないあなたへ

飛べないあなたへ 「リトルターン」ブルックニューマン作 五木寛之訳 リサダークス絵 集英社この本は、ある瞬間、不意に飛べなくなったリトルターン(コアジサシ)のお話です。 リトルターン(コアジサシ)は、先の黒い黄色いくちばしと黄色い脚を持つ小型の…

いのちは自分だけのものではありません

いのちは自分だけのものではありません いのちは今だけのものではありません レオ・バスカーリア作「葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜」みらいなな訳 童話屋この本は1998年に翻訳されて大ヒットしました。わたしたちはどこから来てどこへ行くのだろう。生きる…