2003-11-01から1ヶ月間の記事一覧

良寛さんの心その十二 情熱的な恋の人(下)

(良寛) 君や忘る 道や隠るるこの頃は 待てど暮らせど 訪れのなき (貞心尼) 事しげき むぐらの庵(いお)に閉じられて 身をば心に 任せざりけり[意訳] (良寛) あなたは約束をお忘れになったのでしょうか それとも草が生い茂って道が隠れてしまったの…

良寛さんの心その十一 情熱的な恋の人(上)

良寛さん70才、貞心尼(ていしんに)さん30才、出会いから5年の間、何回も会い、和歌をやりとりし、最後に良寛さんのお浄土への旅立ちを貞心尼さんが見送りました。そしてお二人の交流を「はちすの露」という記録に残してくださいました。おかげで私たちも、…

良寛さんの心その十 執着から離れた人(下)

[手紙] (略)災難にあう時節には 災難にあうがよく候 死ぬ時節には 死ぬがよく候 これはこれ 災難をのがるる妙法にて候大地震にあわれた時のお手紙の一節ですが、逃れられない大災害や病気や不幸に遭遇したときの心構えです。こういう話は当事者でないも…

良寛さんの心その九 執着から離れた人(中)

[詩] 首(こうべ)をめぐらせ七十有余年 人間(じんかん)の是非 看破(かんぱ)に飽きたり 往来 跡は幽(かすか)なり 深夜の雪 一ちゅうの線香 古窗(こそう)の下[意訳] 顧みれば七十年以上も生きてきて 世間の人々の是非をあらそう様子はもう見飽きた…