2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「雨にもまけず…」その十二 老いることの苦 上

賢治さんの「雨にもまけず…」では「老」については触れられてはいませんが、ここはどうしても考えてみたいところです。 老=苦ではありません。高齢になってこそ得られる豊富な経験、精神的成熟、社会的基盤、自信、などから考えると、青年期や壮年期には想…

「雨にもまけず…」その十一 南に死にそうな人あれば

南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい 「死」が苦であるのは、生き続けたいと望む事情があること、または死後の世界が怖いからです。 人間の死は逃れられない事実で、生き続けたいという望みが叶えられないことは、誰でも知っています。…

「雨にもまけず…」その十 西につかれた母あれば

西につかれた母あれば 行ってその稲の束を負い 賢治さんの時代の母は、貧困や飢饉や疫病や戦争や差別や暴力に苦しめられ、生きることにつかれたんだろうと思います。何かハンディキャップがあれば生きることが大変だったでしょう。障害、冷害、借金、失業、…

「雨にもまけず…」その九 東に病気のこどもあれば

東に病気のこどもあれば 行って看病してやり。 ここから東西南北が出てきますから、あらゆる方向の悩みを持った人々に心を配ることです。生老病死について、再度深く考えてみます。 病いの苦について。これは二重の苦です。第一は病いそのものがもたらす、痛…